小学生があたりまえに背負って登校しているランドセル。
近年では、デザインも色もいろいろな種類があります。
小学校に入学する時には、かならずランドセルを用意するもの。
日本では信じて疑わない親御さんがほとんどですが『ランドセルの歴史』について考えたことはありましたか?
現在の箱型ランドセルの誕生は明治時代にさかのぼります。時の総理大臣 伊藤博文が、学習院に入学する大正天皇のために献上したカバンが現代のランドセルの源流となりました。今でもヘリのある従来型のランドセルを「学習院型」と呼ぶのはこのためです。
以来、小学生の通学カバンとして定着してきたランドセルは、様々な進化を遂げて現代のようにバリエーション豊かになりました。
丈夫で軽い人工皮革(クラリーノ)の登場、希少な馬の革であるコードバンなどの高級志向の高まり。デザインやカラーの多様化、そしてより背負いやすい仕様の追求とランドセルはまだまだ進化の途中です。
100年近く大きくデザインを変えてこなかったランドセルに、大きな変化が2つありました。
ひとつは、100年以上続いた「学習院型」から「キューブ型」の普及。
A4フラットファイル対応【学習院型】
A4フラットファイル対応【キューブ型】
伊藤博文が献上したカバンが基本となった「学習院型」のランドセルは、本体と背あてを外側から縫い合わせています。そのため縫いシロの部分がヘリとなって出っ張って残ります。大正から平成20年頃まではこの「学習院型」がランドセルの主流でした。
一方の「キューブ型」は特殊なミシンを使い、本体と背あてを内側から縫い合わせています。外観は出っ張りがなくスッキリコンパクトに、容量も確保できるようになりました。コロンとしたかわいい見た目と大容量が受けて「キューブ型」のランドセルは人気商品になりました。
2011年には学習指導要領が改定され、いわゆる“ゆとり教育”の見直しにより小学校の事業時間と教科書のページ数が増加。体育着や給食着などの従来の荷物にくわえ、熱中症対策の水筒など小学生の荷物の増加に対応するため、フジタでは2012年から全てのランドセルを「キューブ型」に変えました。
そしてもうひとつが、肩ベルトを最初から“立ち上げた”状態にする立ち上がり肩ベルトの登場です。
立ち上がり肩ベルト
立ち上がらない肩ベルト
従来の肩ベルトは付け根(背カン)から下に向かってぶらさがる形でランドセル本体に取り付けられていました。
下に向かわず、上に向かって肩ベルトを取り付けるのが「立ち上がり肩ベルト」です。現代では約8割のランドセルが「立ち上がり肩ベルト」を採用しているといわれています。
「キューブ型」ランドセルと『立ち上がり肩ベルト』の登場は100年以上姿を変えずに続いてきたランドセルの歴史の中でも大きなターニングポイントです。